2018-08-10

SaaS事業者だけが知っている 導入を成功に導く4つのポイント

創業経営者に特化したベンチャー経営誌「企業家倶楽部」で連載中の企画「IT活用のススメ」。

掲載号よりもいちはやく「B-ridge」で先行して誌面をお届けします。今号では、PCと電話を活用したオンライン商談サービスを提供するベルフェイスの代表・中島一明氏をゲストにお招きし、IT化で企業が成功するための方法について語っていただきました。掲載号よりもいちはやく「B-ridge」で先行して誌面をお届けします。今号では、PCと電話を活用したオンライン商談サービスを提供するベルフェイスの代表・中島一明氏をゲストにお招きし、IT化で企業が成功するための方法について語っていただきました。

中島一明氏     ベルフェイス株式会社 代表取締役

【ご略歴】1985年生まれ。15歳で土木会社に就職し19歳で世界一周の旅へ。旅先で書きためた200のビジネスプランとともに帰国し21歳で最初の会社を起業。2015年4月、営業支援サービスを提供するベルフェイスを創業する。

秋山 勝     株式会社ベーシック 代表取締役

【略歴】1972年、東京生まれ。2004年に株式会社ベーシックを創業。「Webマーケティングで世の中の問題を解決する」をヴィジョンにWebマーケティングサービスの開発や、メディア運営、中小企業支援のためのイベントを開催。

利用広がるSaaSの魅力

秋山: 少子高齢化時代の生産性向上は、企業はもちろん、SaaS(サース)を提供する事業者にとっても、重要な課題です。

 

中島: 同感です。私どものベルフェイスでは、顧客が遠方に分散しているお客様や、組織が小さく顧客対応がままならないお客様に対し、訪問営業に代わる手段としてオンライン商談を提案しています。ですから生産性向上は私どもにとっても大きな関心事です。

 

秋山: 中島さんは、現在のSaaS業界をどのようにご覧になっていますか?

 

中島: 多様な業務に対応した優れたサービスが誕生しています。きっとSaaSという言葉を意識することなく利用されているユーザーも多いのではないでしょうか。

 

秋山: SaaSの魅力は何といってもネットを通じて常に最新の機能を利用できること。いまやインストール型のソフトと比べても使用感に遜色はありません。

 

中島: ええ。むしろ使いやすいくらいです。「業務システムは使いにくくて当たり前」という常識はすでに過去のものになったのではないでしょうか。

 

※SaaS ソフトウェア・アズ・ア・サービスの略(月額定額で利用するクラウドサービスの一種)

導入の成功に不可欠な要素

秋山: 御社のサービスを上手に使いこなしているお客様には、どのような傾向がありますか?

 

中島: 必ずといっていいほど、業務改革に熱心なリーダーがいらっしゃいます。

 

秋山: われわれのマーケティングツールをうまく使いこなしているお客様も同様です。ほかにも共通項があれば教えてください。

 

中島: リーダーの存在とも関連しますが、導入を中途半端に現場任せにせず短期決戦でやりきる会社が導入に成功しやすいですね。

 

秋山: どういうことでしょう?

 

中島: 私たちのサービスは営業を効率化するためのツールです。徹底して使っていただければ顧客訪問に費やす時間とコストを大幅に削減できます。しかし業務改革には現場の反発がつきもの。どうしても時間をかけて導入しがちですが、時間をかければかけるほど、効果が出づらいのです。

 

秋山: 導入後も従来のプロセスが現場に残されて移行がうまくいかないということでしょうか?

 

中島: そうです。もちろん会社の規模や業種にもよりますが、1年かけてゆっくり移行させるくらいなら、3カ月くらいでパッと変えてしまったほうがいい。以前、導入のタイミングで、上司の了承を得ない限り、訪問営業を禁止にしたお客様がいらっしゃいましたが、短期間でやり切り、効果を実感されていました。

 

秋山: 従来のプロセスを規制することで新しいプロセスへの移行を速めるわけですね。面白い取り組みだと思います。

事業者を巻き込むのも手

秋山: 逆に効果が出ない会社に顕著な特徴があれは教えてください。

 

中島: 「同業他社が使っているから」という理由で導入するのはお勧めできません。目的と目標をよく吟味すべきです。

 

秋山: 導入自体が目的化していまうとその後うまく機能しませんからね。

 

中島: はい。秋山さんはどんな会社が失敗しやすいと感じますか?

 

秋山: リーダーシップは大事ですが、現場の意見を顧みず経営者のトップダウンで決めてしまうのはあまりいい結果を生みませんね。

 

中島: 実際に利用する現場の理解なしに、SaaSの活用はあり得ませんからね。

秋山: ええ。もちろん経営者自身がリーダーシップを執るのは構いません。しかし現場に改革意識に長けたリーダーがいるなら、その方に託したほうがうまくいくケースが多いように感じます。

 

中島: もし適任者がいなければ、SaaS事業者に事情を相談するのもひとつの手では?と思います。カスタマーサクセスに対する情熱がある会社なら、きっと親身になって解決策を提案してくれるはずです。

 

秋山: そうですね。SaaSは売り切りのシステムではないので、顧客と長くお付き合いすることが事業者にとってもメリットです。悩みを打ち明け、親身な対応をとってくれるかどうかという点も、長く付き合えるSaaS業者を見分けるポイントかもしれません。

まとめ

SaaS導入を成功させる4つのポイント

・業務改革に熱意を持つリーダーを専任すること。
・安易な他社の追随は×。目的と目標を明確に。
・導入を現場任せにせず、短期決戦で臨む。
・不安事はSaaS事業者に相談し解決を図る。

次回も引き続き、中島氏にご登場いただき議論を深めます。お楽しみに!

※『企業家倶楽部』2018年10月号(No.137)より転載

INFORMATION

橋本 大祐

2017年4月、株式会社ベーシック入社。
『Webマーケティングをこれ1つで』を実現するSaaS「ferret One」のインサイドセールスを4ヶ月、カスタマーサクセスを1年間務める。
2018年10月より現職であるWebマーケティングメディア「ferret」、SaaSの比較サイト「マケスト」の事業部の事業企画を担当。
その他、社内活動では、社内報「b-ridge」の編集長やイベント企画・司会などを行なっております。好きな食べ物は、ホルモンや焼き鳥。