誰でもホームページ作成の時代 オリジナリティー要素が鍵
先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)
最近、副業の相談をよく受ける。「副業OK」の企業が続々と登場しているのは、周知のとおりだ。政府も後押しをしている。「自分でなにか事業を立ち上げようと思う」「今まで社会人としての経験を生かし、コンサルタントを始めようと思う」という相談が来る。
だが、一番の悩みは集客だ。今まで一度も営業したことがない人がほとんどだ。
弁護士さんもお医者さんも集客が大変だという話をよく聞く。しかもスマートフォン(スマホ)で物事が解決する時代。インターネット上に看板的存在を作る必要がある。そうウェブページだ。ホームページとも呼ばれている。その昔は、サイト制作業者に頼んでいたが、費用も最低でも30万円と言われたことが何度もある。体感的に高い気がする。
筆者はずっとフリーランスだが、実はホームページを持っていなかった。そこで、この機会に作ってみようと、簡単そうな新サービスを発見した。ベーシック(東京・千代田)が運営する「One Page」は、無料で始められることがわかった。しかもたった3ステップでできるという。5月末に始まったサービスだ。新しもの好きの筆者はいきなりチャレンジ。
早速、登録をしてみる。どうもホームページに必要な事柄が最初から決まっている。それに当てはめて入力をしてゆく。僕のような素人でもできそうだ。マイクロソフトのパワーポイントを作っているような感覚だ。最初から利用シーンが20種類に限定されているから、わかりやすい。筆者は「サービスの紹介をする」を選んだ。
ベーシックはオールインワンマーケティングツール「ferret One」などを提供し、ホームページの制作会社などではない。なぜ、ライバルもたくさんいるこの分野に参入したのだろうか?
「時間やノウハウ、費用などの不足でホームページ制作をあきらめる人は多い。そんな『できない』を、3ステップの工程で『できる』に変えたかった」。プロダクトオーナーである福田ひとみ氏は語る。そのとおりだ。筆者も幾度も制作に挑戦してきたが難しかった。挫折してきたのだ。
次のステップへ進む。文字フォントは8種類。写真もたくさんある。「イベントの集客ページ、自身の作品を紹介するポートフォリオなど、利用シーンはあえて絞らず多目的な活用を期待しています。思い立った時すぐに作成できる手軽さを大事にしています」と福田氏。
1アカウントで公開できるのはたった3ページだ。逆にシンプルで集中できる。すでにこのサービスを使っている鈴鹿木材やインベスのホームページ担当の森氏に話を伺うと、「ここまでクオリティーの高いホームページをサクサク気持ち良く制作できる時代なのだと感嘆した」。実際にこの材木会社のホームページを見てみると美しい。筆者もこのようなものが作れるのではないか?と希望を持ち始めた。
「今後はカスタマイズ機能の向上を目指し、飲食店のページには予約機能を用意するほか、採用ページでは求人データベースと連携できるようにする」と福田氏。まだ筆者のレベルでは必要ないが、簡単に多言語にも対応できるそうだ。いや英語のメールも今朝も来たので必要かも。この夏には更に多機能な有料版も登場するという。
筆者のように無料だからとこのサービスを使う人は増えるだろう。だが、どのページも同じデザインになってしまうと個性がなくなってしまう。今後、これをベースにどのようにしてオリジナリティーを出すかが腕の見せどころになってくるだろう。というわけで筆者のホームページも見事完成。
[日経MJ2018年7月2日付]