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CS担当者もオススメ!お役立ち「SaaS」3選

 ビジネスシーンで注目度が高まるSaaS。業務効率やパフォーマンスの向上、社内コミュニケーションの活性化につながるサービスが数多く登場し、さまざまなセクションで導入が進んでいます。もちろん、顧客対応・接点作りの面においても大活躍中です。そこで今回は、日本最大級のCS(カスタマーサポート)コミュニティ「CS HACK」が開催したプレゼン大会『My Favorite SaaS Vol.2』に潜入。ビジネスパーソンである登壇者たちが“効果を実感した”という、3つのSaaS型サービスをご紹介します。

加速する働き方改革も追い風に、一段と需要が高まるSaaS

 SaaS(正式名はSoftware as a Serviceで、読み方はサースまたはサーズ)とは、クラウドサービスの一種で「インターネットを経由してソフトウェアを利用するサービス」のことを指します。ソフトウェアといえば、以前はパッケージ化したものを購入して利用するのが一般的でしたが、2006年頃からSaaS型サービスが続々と登場するようになり、近年は利用者の増加とともに国内でのサービス競争も激化しています。例を挙げると、「Gメール」やMicrosoftの「Office」シリーズ、「Salesforce」、「Sansan」などのサービスが、SaaSとして分類されています。利用・料金形態は、月額もしくは年額のサブスクリプションモデルが一般的です。

 ICT市場調査コンサルティングのMM総研が6月、国内企業3万9115社の情報システム担当者を対象に行った調査結果によると、2019年度のクラウドサービスの市場規模は2兆3572億円(前年度比21.4%増)。そのうち、SaaS、(SaaSの発展系として登場した)PaaS、IaaSなど、パブリッククラウドの市場規模は8121億円を占めると推測されています。特にSaaSは、コロナ後の働き方の変化に伴ってさらに需要が高まっていき、2024年にはパブリッククラウドだけで市場規模が約2兆4000億円に達すると予測されています。

“顧客と向き合う”企業担当者が惚れ込むサポートツールとは

オンラインイベントの模様。写真は、CS HACK主宰者の藤本大輔さん(左)と、登壇者のみなさん

 7月15日にオンラインで行われたイベント『My Favorite SaaS Vol.2』は、カスタマーサポートをはじめ、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー、マーケティング担当者など、コミュニケーションに関わる人々が集うCS HACKが定期開催するコミュニティイベントの1つ。

 登壇者は、自身のお気に入りのSaaSについて、他のイベント参加者に10分以内でプレゼンを行います。なお、紹介するSaaSは、自社以外(登壇者が所属する企業発のサービスはNG)のサービス限定。また、同一テーマによる2度目の開催となる今回は、サポートツール、インサイドセールス(メールや電話、ビデオツールなどを活用しながら遠隔で行う営業手法)で使用されるサービスというルールが設けられました。ここからは、熱量たっぷりに紹介されたサービスについて、解説していきます。

【その1】顧客と強い関係性を築くチャットサポートツール「Intercom」

  • 岩崎善光さん

    岩崎善光さん

発表者
岩崎善光さん
(TOWN株式会社 Aipo事業部 システムエンジニア)

紹介するサービス
Intercom(インターコム)
>公式サイト:https://www.intercom.com/(外部リンク)

 BtoB向けのSaaS型サービスの開発を行っている岩崎さんが紹介するのは、チャットサポートツールの「Intercom(インターコム)」。お客さまに商品・サービスを選んでもらう、継続して使ってもらうためには「顧客と強い関係を構築していくこと」が重要です。しかし、オンラインビジネスにおいては、その特性から、顧客と個人的な関係を構築していくことはなかなか困難なもの。Intercomは、そういったオンラインビジネスの課題解決に役立つツールで、顧客体験を最適化すること(お客さまにとって、オンラインビジネスを人間味のあるものにすること)を志したサービスです。

  • 岩崎善光さんのプレゼン資料

    岩崎善光さんのプレゼン資料

  • 岩崎善光さんのプレゼン資料

    岩崎善光さんのプレゼン資料

 顧客体験を最適化するには、顧客と企業が「個別の会話」ができてこそという思想から、同サービスには定型的ではなく、血の通ったやり取りを促す機能が満載。岩崎さんが同ツールの最大の強みと話すのが、顧客から寄せられるメッセージの受信トレイ内で使用できる「顧客データの集約」機能。問い合わせのあったお客さまの契約情報や機能の設定状況などがひと目でわかる仕様になっているため、「お客さまに関して改めてヒアリングする必要がなく、こちらは状況を把握できている状態で会話・サポートを行うことができるんです」(岩崎さん)。ちなみに、Salesforceなど他のCRM(顧客管理)ツールとの連携も可能とのことです。

<岩崎さんが解説するIntercomの主な特徴>
●顧客との「個別の会話」を促すことで、オンラインビジネスの課題解決につながる
●長期的に顧客と良好な関係を構築する、サブスク型ビジネスにマッチ
●コミュニケーションに必要な要素を1つのプラットフォームで提供
●最大の強みは「顧客データの集約」ができること
●スマホアプリ対応で、外出先でも確認が可能

【その2】送付相手の“閲覧時間”も分析できる、ファイル共有サービス「DocSend」

  • 太田祐輝さん

    太田祐輝さん

発表者
太田祐輝さん
(株式会社インゲージ マーケティングチーム・マネージャー)

紹介するサービス
DocSend(ドッグセンド)
>公式サイト:https://www.docsend.com/(外部リンク)

 メール共有システムを展開するインゲージでマーケティング責任者を務める太田さんが紹介するのは、営業資料やサービスカタログなどのファイル共有ができるクラウドサービス「DocSend(ドッグセンド)」。リンクを送付するだけで簡単に共有できるほか、ファイルを送付した相手の閲覧状況や閲覧時間もページごとに把握することができるそう。海外のサービスのため言語は英語対応ですが、シンプルなデザインで使いやすさ◎。月額10ドル(日本円で約1000円)という安さも魅力の1つです。

  • 太田さんのプレゼン資料

    太田さんのプレゼン資料

  • 太田さんのプレゼン資料

    太田さんのプレゼン資料

 太田さんが最も優れていると感じるポイントは、送付相手の閲覧状況・時間が確認できる点。この機能によってじっくり読まれているページ、飛ばされてしまっているページなどを把握・分析することができ、営業資料やサービスカタログなどをより良く改善していくことができるといいます。「特に最近はオンラインでの商談が増え、資料送付も郵送ではなく、オンラインで行う機会が増えているはず。せっかくオンラインで送付するなら、閲覧の分析を介して改善できるところは行っていけると良いですよね。今後どこかでチャンスにもつながるのではないでしょうか?」(太田さん)

<太田さんが解説するDocSendの主な特徴>
●営業資料やサービスカタログの整理・バージョン管理が簡単
●ファイルを受け取った人の閲覧状況がページごとに把握・分析できる
●リンクに期限やパスワードを設定することができ、セキュリティ面も充実
●ミニマムの契約で月額10ドル(日本円で約1000円)という安さも魅力
●言語は英語対応だけれど、画面がシンプルで使いやすい

【その3】圧倒的な安心感!ウェビナーツール「Cocripo」

  • 佐藤和美さん

    佐藤和美さん

発表者
佐藤和美さん
(株式会社ベーシック SaaS事業部 カスタマーサクセス部 アカウントサクセス)

紹介するサービス
Cocripo(コクリポ)
>公式サイト:https://www.cocripo.co.jp/(外部リンク)

 オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」のカスタマーサクセスに携わる佐藤さんが紹介するのは、ウェビナー(Webとセミナーを掛け合わせた造語)ツール「Cocripo(コクリポ)」。佐藤さん自身、提供サービスの運用支援や新規顧客獲得のために日々ウェビナーを行っているそうですが、そんな彼女が「カスタマーサクセスやサポートとしてウェビナーをやりたいと考えている人にぜひ知ってほしい!」と力説する理由は、使用したときに感じる圧倒的な安心感にあるとのこと。

  • 佐藤さんのプレゼン資料

    佐藤さんのプレゼン資料

  • 佐藤さんのプレゼン資料

    佐藤さんのプレゼン資料

 Cocripo は2016年にサービスインした国内SaaS。日本人向けの直感的なユーザーインターフェース、わかりやすいデザインになっていて、準備はもちろん本番も迷うことなく配信を行うことができるそうです。複数回にわたり参加者にリマインドメールを自動で送付してくれたり、ウェビナー終了後にアンケート等の指定ページに自動で遷移してくれたりというサポート体制も、運営側としては嬉しいポイント。

 そして、極め付きは「接続の切れづらさにある」と佐藤さん。同ツールは、音声や映像の遅延・切断のリスクを徹底的に抑える工夫がなされていて、例えば電波状況が悪い際には、映像を多少粗くしてでも音声を途切れないように調整してくれるんだそう。「CocripoとZoom両方使っています。Cocripoのほうが(有料版の月額料は)高額ですが、ウェビナーの“登壇者”としては、やはり安心感の差が大きいように思います。ツールというよりは、もはやチームの一員のような存在です」(佐藤さん)

<佐藤さんが解説するCocripoの主な特徴>
●国内発ならでは!準備も配信も迷わないわかりやすいデザイン、ユーザーインターフェース
●とにかく「接続」が切れづらい
●申し込み方法が運営側・参加者側ともに簡単
●参加者に向けリマインドメールを自動で送付してくれる
●終了後は自動で指定ページへ遷移。参加者の熱量が高いうちにアンケート等、次の行動に促すことができる

 業務の効率化、パフォーマンスの向上など、さまざまな面で役立つSaaSですが、どのサービスのなんの機能が良かったのか?、どんなふうに役立ったのか?など、その使用感について把握するのはなかなか難しいもの。各サービスの利用者であり、ファンでもある登壇者たちの“リアルな声”は、SaaS導入を考えている人にとって貴重な検討材料になるのではないでしょうか。