SNSコラム

【前編】ベーシック秋山代表×ホットリンク飯髙特別対談:「ferret」を生み出した二人が語る、伸びるメディアとは?

2020年07月06日
ザ・プロフェッショナル

最終更新日:2021年5月20日

各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルたちとホットリンクCMO・飯髙が、2020年以降のSNSマーケティングのあり方について考える対談シリーズ「ザ・プロフェッショナル」

今回のゲストは、飯髙の前職である株式会社ベーシックの代表取締役を務める秋山勝さん。オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」やWebマーケティングメディア「ferret」を運営する同社は、直近は社員のSNS活用を推進しており、その運用手法に注目が集まっています。

秋山さんと飯髙はferret立ち上げの苦楽を共にした戦友であり、飯髙がベーシックを離れた後もたびたび交流しているそう。インタビュー前編では、ホットリンク・マーケティング部部長/ホットリンク総研研究員の室谷が聞き手となり、ferretを業界最大級のメディアにまで成長させた秘訣や、飯髙が退職することになった経緯、互いに何を学び取ったのかなどをじっくり語り合っていただきました。

秋山勝。高校卒業後、企画営業職として商社に入社。2004年、ベーシックを創業。「問題解決の集団として、情熱を妨げる世の中のあらゆる問題解決をやり抜き、多種多様な企業が強みに集中できる世界を創造する」をミッションに、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」、フォーム作成管理ツール「formrun」のSaaS事業と、国内最大級のWebマーケティングメディア「ferret」や「フランチャイズ比較ネット」などのメディア事業を展開。一般社団法人マーケターキャリア協会(MCA)理事。

後編はこちらから。
【後編】「消費者理解ではなく、人間理解を」ベーシック秋山代表が語る、新時代のマーケター育成論

同じ課題を持つ者同士が出会い、「ferret」が生まれた

室谷:
秋山さんと飯髙さんはどのように出会ったんでしょうか。

秋山:
もともとSEOサービスだった「ferret」をWebマーケティング総合メディアへピボットする構想を練っていた時に、知人に相談したんです。「メディアを立ち上げたいけど、僕はメディア運営の経験がない。誰か立ち上げを推進してくれるような人はいないかな」と。すると、「一人、ぴったりな人がいる」と言われて。食事の席でそういう話になったんですけど、じゃあ今すぐこの場に呼ぼうとなって、そこに来たのが飯髙でした。急な話だったんですけど、構想を話したら飛びついてきて。その場ですぐ、一緒にメディアを作ろうと誘いました。

飯髙:
それが2014年の2月でしたね。

秋山:
その時って、実は次の転職先を決めていたんだよね。

飯髙:
そうなんですよ。もともと手伝っていた会社から誘われて、すごく良い待遇で迎えてもらうはずでした。でも、それを秋山さんに言ったら「お前がその待遇を受けるのは早すぎる」と言われて(笑)。普通会って間もない相手にそんなこと言えないと思うんですけど、忖度せず、忌憚ない意見を言ってくれる人だなと思いましたね。

室谷:
ベーシック入社の決め手はなんだったんでしょうか。

飯髙:
一番は、やっぱり「ferret」の目指すビジョンでしたね。Webマーケティングが標準化されていない点に関しては、僕もずっと課題に感じていました。Webマーケティングって、SEO・リスティング・アクセス解析といろんなカテゴリが含まれていますよね。それぞれのノウハウを解説する書籍や記事はあっても、それらをどう繋げて、最終的に生まれる成果を最大化させるかという部分を教えてくれるところがなかった

「ferret」は、そこを解決できる場所になれるのかなと思えた。秋山さんの構想には、メディアだけでなく、ノウハウを実践するためのツール(「ferret One」の前身となるツール)の提供なども含まれていて、メディアというより新しいサービスを形成しようとしているところにすごくワクワクしましたね。

室谷:
秋山さんは、なぜこのような構想に至ったのでしょうか。

秋山:
「ferret」がまだSEOサービスを提供していたころ、「SEOで上位表示したのに全然売上につながらない」という内容で、コンサルティングのご相談をいただくことが多かったんです。そこでWebサイトを見せてもらったら、絶対にコンバージョンしないような設計になっていたり、SEOだけ最適化してビジネスの改善に繋げられていなかったりするケースが本当に多かった。

そこから俯瞰して、なぜそのような状態に陥ってしまうのか考えてみたんです。リソースや環境の問題などいろいろあるけど、「結局はWebマーケティングを一気通貫で教えてくれるところがないからだな」と気づいて。そこから「ferret」の構想が始まりました。

苦手を克服するか、強みに立脚するか。ベーシックでの経験が教えてくれたこと

室谷:
飯髙さんは、約5年「ferret」の責任者を務めた後、2019年に退職しています。ベーシックを去るときの、秋山さんの心境はいかがでしたか。

秋山:
正直、飯髙が抜けることに対しては忸怩たる思いはありましたよ。飯髙が持っている良さも、著しく欠落しているスキルも知っているという自負があった。その欠落している部分を補完することで、もう1段2段レベルの高い人間になっていったら面白いだろうなと思っていたのですが、道半ばで袂を分かつことになったなと。

秋山:
ただ、今の活躍を見ていると、転職して本当に良かったんだなと思いますよ。人は強みに立脚すること、こんなにもいきいきするのかと。

室谷:
秋山さんが感じる、飯髙さんの強みというのは?

秋山:
嗅覚ですね。本能的に良いものを嗅ぎ分ける力が強い。正直、話してる内容を聞いていると、よくわからないこと言ってる時が多いんですよ。ロジックが通ってるか通ってないかギリギリのところというか(笑)。でも、思考はクリアだからちゃんと聞けばわかってくるんですよね。

あとは、人から好かれる力はずば抜けてますよね。SNSという領域では特にその強みが活きる。

室谷:
逆に飯髙さんが思う秋山さんの強みはどこでしょうか?

飯髙:
どんな時でも、ちゃんと対話してくれて、正しい方向に導いてくれるところですかね。あとは、今秋山さんが言ってたように、僕がふわっと話したことをしっかり理解して、任せてくれるところとか。僕が何をやりたいのか、うまく言語化できていなくても「いいよ、とりあえず一回やってみれば」と言ってくれてすごくやりやすかったですね。

あとは、僕の足りていないところをずっと指摘してくれる数少ない人でした。よく言われていたのは、マネジメントの部分ですね。自分でもなんとかしなければいけないなとは思いつつ、「決定的に向いていないな」とも思っていて。ホットリンクに来てからは、チームマネジメントは室谷に任せているんですけど、すごく良い状態を維持できています。

だから、自分が嫌だと思ってることや向いていないことをやり続けてはいけないと実感しましたね。無理にやろうとすると、チーム全体の成果が下がってしまう。
自分の強みを活かしてチームメンバーを先導する役割を担う方が、全体がうまく回ると今は思っています。これは秋山さんに苦手な部分を指摘してもらって、向き合い続けたからこそ気づけた部分ですね。

ferret躍進の要因は目先の利益にとらわれなかったこと

室谷:
「ferret」がオウンドメディアとして再スタートを切った2014年当時、他にもオウンドメディアが続々と立ち上がっていましたよね。その中でも目指しい成長を遂げた、最大の要因はどこにあるのでしょうか?

秋山:
初期の伸びは、やはり飯髙の感性や能力によるものが大きかったと思いますね。グロースハック的なテクニックを押さえつつ、王道のコンテンツ戦略も行っていました。
とくに、第三者からの評価を得るためにはどうすればいいのかを戦略的に考えて実行していた印象が強いですね。

中盤からは僕も介入して、ferret事業部として目指す方針を固め、メンバーが何をすればいいのかを明確にしました。ターゲットキーワードの選定から狙いたい検索順位までかなり細かくマネジメントしていましたね。

室谷:
現在「ferret」のコンテンツは多くの企業が研修に導入するなど一定の信頼を得ていると思うのですが、メディアとしてのブランディングで気をつけたポイントは?

秋山:
重視していたのは、読んだ人がすぐ実践できる粒度の記事になっているか、という点ですね。

飯髙:
Webコンテンツって、読んでも行動に移せないものが多いんですよね。例えばSEO向けの記事って、情報はリッチだけど結局何をすればいいかわからないものが多かったりします。だから「ferret」ではしっかり行動に繋げられる記事を作りたかった。とくに会員限定コンテンツは内容をコンパクトにまとめて、読みやすさ、わかりやすさを重視しました。

秋山:
会員限定のカリキュラムコンテンツはそうだよね。カリキュラムは、Webマーケテイングの1から10までの施策の基本をおさえた、普遍性の高い教科書的なコンテンツです。正直SEO的な効果は期待していないし、バズを狙えるようなものでもない。
でも、
目先のトラフィックにとらわれず、価値あるストック型コンテンツに早い段階で着手していたからこそ、今の立ち位置を獲得できたのはあると思います。

飯髙:
今となっては当たり前だと感じるんですけど、コンテンツにはそれぞれ役割があるんですよね。すべてが検索上位に上がるか、SNSでバズればいいというわけではない。

たとえば、僕が昔書いたコンテンツマーケティングの解説記事がすごくバズってものすごい量のトラフィックが来たけど、資料請求とか会員登録には全く繋がらなかった。
一方で、「ferret One」を導入した鍼灸院の事例記事を公開したところ、全然トラフィックは集まらないけど、驚くほどコンバージョンしました。

もちろん、どちらが良いというわけではなくて。大事なのは「これはトラフィックを強化するための記事」「これは資料請求に繋げるための記事」と明確に区別して、狙い通りの成果が出ているかどうかしっかり検証することです。

 

後編では、現在ベーシックが推進する社員のSNS活用に言及。なぜSNSを活用することになったのか、その根底にある秋山さんの組織マネジメント論の変化に迫ります。

【後編】「消費者理解ではなく、人間理解を」ベーシック秋山代表が語る、新時代のマーケター育成論

 

今回の「ザ・プロフェッショナル」もお楽しみいただけましたか? 本シリーズでは、今後も各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルをお招きして対談を行ないます。過去の記事はこちらからご覧ください。

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